立地・景観

苫小牧研究林の全面積は2,715haで、苫小牧市全体の1/20にあたります。苫小牧研究林を構成している森林は天然 林、二次林、針葉樹の人工林で、それぞれの森林は全面積の約1/3ずつを覆っています。二次林は木材生産のための皆伐跡地に成立したものもありますが、最 も多いのは洞爺丸台風による風害跡地に成立してできたものや不成績造林地に広葉樹が成長して出来たものです。
 標高は5~90mとそれほど高い場所がなく、斜度が5%以下の起伏の少ない台地が大部分をしめます。研究林全域は樽前山由来の火山灰土壌で覆われてお り、水はけが非常によく、きわめて薄い表土が5~10cm堆積します。西部は樽前山から続くなだらかな森林(おもに国有林)に接し、北部には勇払湿原が広 がります。研究林の北東部には小さな沼があります。研究林の南部は苫小牧市街地に接しています。
 
林内には北西から南東方向へ湧水起源の河川(幌内川)と沢(熊の沢)が流れています。河床勾配は1%以下と流れはとても緩やかです。流域面積は約8k㎡、 流路延長約14km、川幅3~4mの小さな渓流です。幌内川は苫小牧市内で使われる上水道のおよそ半分を供給しています。源水域から研究林の下流端にある 水道局取水櫃までは護岸などの河川改修はされておらず、幌内川は研究林を出た後、南に向かって市内を流れ太平洋へと注ぎます。

※周辺地図・アクセス方法については一般公開を参照ください

苫小牧研究林の林相図


気候

苫小牧研究林は、亜寒帯多雨気候(Df:ケッペンの気候区分)にあたります。過去10年に研究林(落葉広葉樹林)で観測さ れた年平均気温は6.7度、年最高・最低気温はそれぞれ28.5度・ -22.2度です。月平均気温は-6.1度~19.9度、温量指数は57.5度・月 です。夏期(6月~8月)は北海道の中でも冷涼で霧の多い日が続きます。
 年降水量は1112mmで、その大半が夏期に集中します。被雲により日照時間も他の季節と比べて約半分になるので、夏季の日射量は春よりも低くなります。秋から春にかけては晴天が続きます。
 市内の平均最深積雪は20~50cmで、北海道の内陸に比べ雪は少ないのが特徴です。その一方で、土壌は凍結し、凍結深度は、林内で約30cm、裸地で70cmに達します。土壌凍結は12月初旬から4月末まで続きます。
 風向は5~8月は南よりの風、9月~4月は北よりの風が吹きます。夏の南風は海からの塩分を含みやすく、樹木の成長に何らかの害を与えている可能性があります。年間を通じて昼は南東、夜は北西よりの風向きになります。

研究林の気温、日射および降水量の季節変化
     (1999~2008年の平均値)